情報社会下で「思想」を考える(2)
- 2016/11/08
- 13:15
※まちばカレッジブログより
11月13日(日)のトークイベントに向けて書いていただいた、
月村敏行先生の文章の「その2」です。
情報社会による影響、
「自分の今も未来も、自分自身でまるで考えられなくなってしまった」私たちが、
それでも自分のことや社会の今や未来について考えたいのであれば、
考えなければならない。「考える」ということから、考えなければならいのかもしれません。
月村先生とのお話は、その大切な原点に戻らせてくるものだなと感じています。(中尾)
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情報社会とは何かをもう少し考えてみます。それは国家を越えて電波が飛びかつているグローバルな世界だということです。しかし、国家は消えたわけではありません。地球全体というグローバル化のなかで国家は電波への依存性を一層つよめざるを得なかったと言ってよいでしょう。電波が飛びかって、ハッキング(乗っ取って内容を勝手に変える)は個人だけでなく国家間の行為となったからです。アメリカの大統領選挙では投票数はコンピューター集計ですから、ロシアがハッキングしてトランプが有利になるようにするというので、この防御をアメリカ国家がやらねばなりません。昨年、アフガニスタンを攻撃したアメリカの無人戦闘機が国連医師団の病院を爆撃してしまったでしょう。これも爆撃装置そのものがハッキングされていたと考えてよいでしょう。サイバー(電脳)戦争です。国家が今まで考えられていたのとは全く別な形でその力を強化しなければならなくなったのです。
その中で、個人はどうなるのか。ネット関係、その情報関係そのものが国家の強力な管理におかれねばならなくなったでしょう。でも、それはどういう風にどこまでやればよいのか。それはまだまだはっきりとしていないでしょう。マイナンバー制度がその始まりなのは確かです。すでに同じことはビザのときの、アイデンティフィケーションカードに現れていたわけです。アイデンティフィケートというのは、自分が自分で他のものに同化するということです。ビザのときは世界に旅行したり滞在したりするのですから、自分は日本国家に同化している日本人だ、日本政府がそれを証明し、保証している、ということになるのです。同じことは日本国家内でもやらねばならないので、つまり電波は国家を超えているのですから、個人の発する電波=メールは国家が責任を持つというのでマイナンバー制度になったわけです。つまり、国家はマイナンバーで個々のメール通信を全部把握できる体制になったのです。ハッキングはどのメールからか国家はすぐに特定できます。こういう国家と個人の関係は今にして始まったことで、これがどういうことになるのか、誰も分ってないでしょう。40年くらい前の昔ならば、国民総番号制度が提唱されたとき、誰だって反対したのです。父親から受け継いだ名前があり、それで戸籍が作られているのに、なぜ、数番号で国家に登録しなければならないのか。それが今ではあっさりと決まってしまいました。メール社会、情報社会の必然性でこういうことになった、と考えるほかありません。
そうなると、私たち個人、個人はどうなるのか。自分の実体とか存在性─自分は自分だという実体とか存在性はどうなるのか。そのことが自分のことながら、さっぱり分からなくなっているという事態になったのだと思います。端的にいえば、自分の今と来し方行く末なんか、自分の力でまるで考えられなくなったということです。今のまんまで生きていく他ないが、いつ何が起こるのか分からない、今まで過去に生きてきた自分の経験が何にもならない─そういう日々が出現し、また生きているのだと思います。
むろん、これが世界中で起こっている。この人類の未来はどうなるのか、誰も考えられなくなっている。しかし、考えなくてはならないでしょう。メール社会、情報社会では「思い」の交換だけです。しかし、「思い」ではなく、「思うこと」だけでなく、「考え」ねばなりません。それはどういうことなのか─それをお話し、討議したいと思います。
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下記イベントにて、月村先生のお話を聞くことができます。
これからの社会や社会課題、生き方について関心のある方にぜひ来ていただきたいと思っています。
ぜひご参加ください!
●11月13日(日)14時45分~17時00分
~まちばの哲学トークライブ~
「混迷の現代社会を考え生き抜く知恵」月村敏行氏を迎えて
【詳細はコチラ】→http://machibacollege.blog.fc2.com/blog-entry-14.html
11月13日(日)のトークイベントに向けて書いていただいた、
月村敏行先生の文章の「その2」です。
情報社会による影響、
「自分の今も未来も、自分自身でまるで考えられなくなってしまった」私たちが、
それでも自分のことや社会の今や未来について考えたいのであれば、
考えなければならない。「考える」ということから、考えなければならいのかもしれません。
月村先生とのお話は、その大切な原点に戻らせてくるものだなと感じています。(中尾)
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情報社会とは何かをもう少し考えてみます。それは国家を越えて電波が飛びかつているグローバルな世界だということです。しかし、国家は消えたわけではありません。地球全体というグローバル化のなかで国家は電波への依存性を一層つよめざるを得なかったと言ってよいでしょう。電波が飛びかって、ハッキング(乗っ取って内容を勝手に変える)は個人だけでなく国家間の行為となったからです。アメリカの大統領選挙では投票数はコンピューター集計ですから、ロシアがハッキングしてトランプが有利になるようにするというので、この防御をアメリカ国家がやらねばなりません。昨年、アフガニスタンを攻撃したアメリカの無人戦闘機が国連医師団の病院を爆撃してしまったでしょう。これも爆撃装置そのものがハッキングされていたと考えてよいでしょう。サイバー(電脳)戦争です。国家が今まで考えられていたのとは全く別な形でその力を強化しなければならなくなったのです。
その中で、個人はどうなるのか。ネット関係、その情報関係そのものが国家の強力な管理におかれねばならなくなったでしょう。でも、それはどういう風にどこまでやればよいのか。それはまだまだはっきりとしていないでしょう。マイナンバー制度がその始まりなのは確かです。すでに同じことはビザのときの、アイデンティフィケーションカードに現れていたわけです。アイデンティフィケートというのは、自分が自分で他のものに同化するということです。ビザのときは世界に旅行したり滞在したりするのですから、自分は日本国家に同化している日本人だ、日本政府がそれを証明し、保証している、ということになるのです。同じことは日本国家内でもやらねばならないので、つまり電波は国家を超えているのですから、個人の発する電波=メールは国家が責任を持つというのでマイナンバー制度になったわけです。つまり、国家はマイナンバーで個々のメール通信を全部把握できる体制になったのです。ハッキングはどのメールからか国家はすぐに特定できます。こういう国家と個人の関係は今にして始まったことで、これがどういうことになるのか、誰も分ってないでしょう。40年くらい前の昔ならば、国民総番号制度が提唱されたとき、誰だって反対したのです。父親から受け継いだ名前があり、それで戸籍が作られているのに、なぜ、数番号で国家に登録しなければならないのか。それが今ではあっさりと決まってしまいました。メール社会、情報社会の必然性でこういうことになった、と考えるほかありません。
そうなると、私たち個人、個人はどうなるのか。自分の実体とか存在性─自分は自分だという実体とか存在性はどうなるのか。そのことが自分のことながら、さっぱり分からなくなっているという事態になったのだと思います。端的にいえば、自分の今と来し方行く末なんか、自分の力でまるで考えられなくなったということです。今のまんまで生きていく他ないが、いつ何が起こるのか分からない、今まで過去に生きてきた自分の経験が何にもならない─そういう日々が出現し、また生きているのだと思います。
むろん、これが世界中で起こっている。この人類の未来はどうなるのか、誰も考えられなくなっている。しかし、考えなくてはならないでしょう。メール社会、情報社会では「思い」の交換だけです。しかし、「思い」ではなく、「思うこと」だけでなく、「考え」ねばなりません。それはどういうことなのか─それをお話し、討議したいと思います。
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下記イベントにて、月村先生のお話を聞くことができます。
これからの社会や社会課題、生き方について関心のある方にぜひ来ていただきたいと思っています。
ぜひご参加ください!
●11月13日(日)14時45分~17時00分
~まちばの哲学トークライブ~
「混迷の現代社会を考え生き抜く知恵」月村敏行氏を迎えて
【詳細はコチラ】→http://machibacollege.blog.fc2.com/blog-entry-14.html
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