松戸アートライン民事訴訟 第1審の基本的な誤り(八坂弁護士による争点整理)
- 2015/02/01
- 17:02
* 前号からの続き。
昨年(2014年)11月11日の控訴審第2回口頭弁論において、
裁判長は、2015年1月中旬を判決言い渡しの時期としました。
既に2月に入りましたが、判決言い渡しの日程は提示されていません。
判決言い渡しの時期がずれ込んでいることの理由はわかりませんが、
少なくとも、今までと違う流れになっていることは推察できます。
判決言い渡しの時期が遅れていることを踏まえて、
昨年の9月26日、「アートライン訴訟勉強会」において、
八坂玄功弁護士が一審判決の総括と控訴審の争点などを説明した時の記録を掲載します。
::::::::::::以下、文責:TOTO:::::::::::::::::::::::::::::
② 【契約内容に雇用期間を最低3か月とするような定めはないこと。したがって債務不履行はないこと】
「本件育成事業にかかる契約書、仕様書、事業企画書等には
雇用期間を最低3か月とする規定(最長期間は定められているが)はない。
綿密な打ち合わせの中でも松戸市とCoCoTの間で労働者の最低雇用期間を3か月とする合意はなかった。
1審判決はこれらの書類にその合意がないことに反している。
最低3か月に関する調べも行われていない。
それなのに契約書等以外の債務を恣意的なのかどうか、3か月として特定している。
契約自由の原則を壊すもので、CoCoTに債務不履行はない。
契約書などによって特定された債務の内容以外の債務内容を裁判所が認定することは、
当事者間の意思の合致の内容が契約内容であるとの契約の解釈の基本を逸脱するものです。」
③ 【第一審裁判所が雇用期間の最低限の定めを3か月とする黙示の合意があったと認定したことの誤り】
「他の都道府県の中には、緊急雇用創出事業に関わる補助金が支給された事業の中で
、事業期間自体がきわめて短期間のものが存在する。
インターネットで検索すればたやすくわかる。
この補助金を主管する厚生労働省の見解によっても、千葉県の要綱によっても、
雇用期間の最低限の定めは要求されていない。
一審の裁判所は松戸市の主張を慎重に検討することなく鵜呑みにして、
雇用の最低期間を3か月とする黙示の合意があると認定した。
これも基本的な誤りです。」
④ 【第一審裁判所が雇用創出に必要なスキルを習得しうる程度の研修を行っていないと認定したことの誤り】
「この事業では雇用期間の短い人に対しても十分に雇用創出に必要なスキルを提供していた。
市は事業実績報告書の一部を開示している。
その他の研修実施報告書等は保管されているかどうか分からない。
(*注:控訴審開始後の書面で、松戸市は、「研修実施報告書は存在していない」と主張している。
それに対して、CoCoT側から松戸市の担当者による研修実施報告受領書が証拠として提出されている。)
勤務実績や研修記録からも、22年度委託事業研修実施工数は十分な裏付けがある。
厚生労働省によるこの補助金の考え方や千葉県の要綱でも
「O―JT」(実地研修)と「OFF-JT」(講義研修)とは、適切な組み合わせを推奨している。
あたかもOFF―JTが中心として位置付けられねばならぬと決めつけたかのような一審裁判所の認定は
明らかに誤っている。
人件費の比率についても山口県では40%に留まっているケースもある。
1審では50%でなければならぬとも決めつけていますが、
たまたま、都合でやめた人などがいるからといって違反にはなりません。」
昨年(2014年)11月11日の控訴審第2回口頭弁論において、
裁判長は、2015年1月中旬を判決言い渡しの時期としました。
既に2月に入りましたが、判決言い渡しの日程は提示されていません。
判決言い渡しの時期がずれ込んでいることの理由はわかりませんが、
少なくとも、今までと違う流れになっていることは推察できます。
判決言い渡しの時期が遅れていることを踏まえて、
昨年の9月26日、「アートライン訴訟勉強会」において、
八坂玄功弁護士が一審判決の総括と控訴審の争点などを説明した時の記録を掲載します。
::::::::::::以下、文責:TOTO:::::::::::::::::::::::::::::
② 【契約内容に雇用期間を最低3か月とするような定めはないこと。したがって債務不履行はないこと】
「本件育成事業にかかる契約書、仕様書、事業企画書等には
雇用期間を最低3か月とする規定(最長期間は定められているが)はない。
綿密な打ち合わせの中でも松戸市とCoCoTの間で労働者の最低雇用期間を3か月とする合意はなかった。
1審判決はこれらの書類にその合意がないことに反している。
最低3か月に関する調べも行われていない。
それなのに契約書等以外の債務を恣意的なのかどうか、3か月として特定している。
契約自由の原則を壊すもので、CoCoTに債務不履行はない。
契約書などによって特定された債務の内容以外の債務内容を裁判所が認定することは、
当事者間の意思の合致の内容が契約内容であるとの契約の解釈の基本を逸脱するものです。」
③ 【第一審裁判所が雇用期間の最低限の定めを3か月とする黙示の合意があったと認定したことの誤り】
「他の都道府県の中には、緊急雇用創出事業に関わる補助金が支給された事業の中で
、事業期間自体がきわめて短期間のものが存在する。
インターネットで検索すればたやすくわかる。
この補助金を主管する厚生労働省の見解によっても、千葉県の要綱によっても、
雇用期間の最低限の定めは要求されていない。
一審の裁判所は松戸市の主張を慎重に検討することなく鵜呑みにして、
雇用の最低期間を3か月とする黙示の合意があると認定した。
これも基本的な誤りです。」
④ 【第一審裁判所が雇用創出に必要なスキルを習得しうる程度の研修を行っていないと認定したことの誤り】
「この事業では雇用期間の短い人に対しても十分に雇用創出に必要なスキルを提供していた。
市は事業実績報告書の一部を開示している。
その他の研修実施報告書等は保管されているかどうか分からない。
(*注:控訴審開始後の書面で、松戸市は、「研修実施報告書は存在していない」と主張している。
それに対して、CoCoT側から松戸市の担当者による研修実施報告受領書が証拠として提出されている。)
勤務実績や研修記録からも、22年度委託事業研修実施工数は十分な裏付けがある。
厚生労働省によるこの補助金の考え方や千葉県の要綱でも
「O―JT」(実地研修)と「OFF-JT」(講義研修)とは、適切な組み合わせを推奨している。
あたかもOFF―JTが中心として位置付けられねばならぬと決めつけたかのような一審裁判所の認定は
明らかに誤っている。
人件費の比率についても山口県では40%に留まっているケースもある。
1審では50%でなければならぬとも決めつけていますが、
たまたま、都合でやめた人などがいるからといって違反にはなりません。」
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